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アジア通貨危機

アジア通貨危機
http://www.foreland-realty.com/?page_id=1175705より引用

【アジア通貨危機とは】政治・経済の両面からわかりやすく解説

アジア通貨危機とは

まだ発展途上の国の場合、自国の国内の企業や個人の力だけでは経済成長が難しく、外国からの投資が欲しい場合があります。その場合、為替レートが安定すれば、外国の企業にとってはその国に投資しやすくなるため、ドルペッグ制を採用するメリットが大きいのです。 (逆に、為替レートが不安定な国に投資すると、為替レートの変動によって投資した資産が大きく目減りしてしまう可能性があるため、投資家は「投資しよう」と思えなくなります。)

1-1-2:輸出型の貿易構造

上記の例からも分かるように、 輸出が経済成長の原動力になっている国にとって、自国通貨が安く維持されていることは大事なこと なのです。

1-1-3:通貨の評価のずれ

しかし、90年代に入るとより安い中国を「工場」にしようと考え、日本や欧米の企業は東南アジアから中国へ生産拠点を移し始めました。そのため、東南アジアに投資していた投資家たちは「東南アジアにこのまま投資していて大丈夫かな?」と不安を抱くようになっていました。

さらに、1995年以降アメリカは「ドル高」政策を採用するようになります。

1-2:アジア通貨危機の原因

そもそも ヘッジファンド とは、何億、何十億というお金を持っている資産家からお金を集め、それを超エリートの投資家がまとめて運用して増やし、資産家に増やしたお金を返す、というビジネスを行う機関投資家のことです。

個人が海外旅行で通貨を交換するくらいでは通貨の変動はほとんどありません。しかし、これを巨大な規模で行うと為替相場が変動します。

アジア通貨危機時にヘッジファンドが行ったのは、 「空売り」 という行為です。

「空売り」というのは、 いろいろな所から通貨を借りてきてそれを売ってしまう ということです。

  • マーケットで借りたバーツを売りまくって相場をバーツ安に誘導する
  • 他の投資家も損したくないため、一緒にバーツを売ってさらにバーツ安になる
  • 相場が下がり切った(バーツ安の底まで来た)と思ったところで売りをやめ、売ったバーツを買い戻す

バーツはもともと買ってきたものですから、借りてきた銀行等に返さなければなりません。そのため最後に買い戻すのですが、 「高い所で売って安い所で買い戻している」ため、ヘッジファンドは大儲けできる のです。

10分でわかるアジア通貨危機 – 原因や影響をわかりやすく解説 –

参考:第3節 通貨制度に関するアジア地域の経験

上記の画像を見てわかる通り、 タイ、インドネシア、韓国、香港は アメリカに比べて非常に金利が高くなっています。なんとインドネシアでは20%近くの金利を維持しています。インドネシアにお金を預けるだけで、お金が20%も増えるわけですから、当然、国外から資金が大量に流入しました。

さらに、先ほど説明したように固定相場制を採用していたため、為替の変動リスクを受けずに投資できますから、多くの投資家に好まれました。

金利についての詳しい仕組みについては、下記リンクの中央銀行の仕組みで解説しています。

❸. 流入規制の緩和

「固定相場制」と「金利の高さ」に加えて、アジア通貨危機の起こる数年前に、 対外資本の流入規制が緩和されました。

「香港」はもともと流入規制が緩かったため変更はありませんでしたが、「タイ」「インドネシア」「韓国」は規制が緩和されました。外国資本の投資を適切に制限することで、自国の産業を守りながら経済発展をすべきですが、これら3つの国は外国資本家に対して、寛容すぎる政策をとりました。

上記の3つの事象が重なり、海外から多くの資金が流入してきました。

ただし、海外から資金が流入すること自体が「悪」ではありません。通貨危機の影響を受けた国はこれら三つの特徴を共通で持っていますが、それが原因で通貨危機が引き起こされた訳ではありません。

アジア通貨危機が引き起こされた原因は、米ドルで「短期資金」を海外から借り入れ、自国通貨で「長期資金」として国内産業に投資をしていたということです。

  • 短期資金
    短期の借り入れ資金。一般的には、1年以内など短い期間で返済する。
  • 長期資金
    長期の借り入れ資金。1年以上の期間貸し出す資金。長期的でリードタイムの長い投資に使われる。

つまり、海外投資家が、急激なスピードで短期資金を引き上げた場合に、資金繰りが困難になる恐れがあるということです。長期資金は、すぐには回収不可能ですから、多くの企業が破綻してしまいます。外国から借りた多くの資金を自国通貨に換えて、ビルを建てたり、インフラを整備したり長期的な投資をしていました。

これらの国々は、通貨危機の起こる前に、急激に短期の債務を増やしています。

その理由は、先ほど説明した通り「固定相場制」や「金利の高さ」によって自国通貨の需要が高まり、「自国通貨高」に動きやすい状況だったからです。

各国は固定相場制を維持するために為替介入を行い、自国通貨を大量に売りました。

売り払われた通貨によって、証券や住宅などのバブルを生み、そのバブルがさらに海外投資家を呼び込みます。そして、短期債務が増え続けることとなります。

この状況下で、外国投資家が急激に資金を引き上げれば、長期の投資が債務不履行となり当然相場はクラッシュしてしまいます。

原因❷ 経常収支の赤字と資本収支の黒字

アジア経済危機が引き起こされた二つ目の原因は、「経常収支の赤字」です。

固定相場制のこれらの国々は、アメリカは強いドル政策により、 ドル名目実効為替レート は上昇し続けていました。

名目実効為替レート とは、簡単に言うと「ドルの価値の高さ」です。ドル高が進めば、固定相場制の国も通貨高になります。当時の新興国は通貨高に悩まされており、国際競争力を失っていました。

例えば日本においても、円高が進めば、外国で売る日本車の値段が高くなりますから、国際競争力を失いますよね。一方で外国製品は安くなるので、日本国内で外国製品が沢山売れるようになります。そして貿易は赤字に傾きます。

これらをより詳しく理解するにはミクロ経済学の知識が必要です。下記リンクで詳しく解説しています。

その一方で、「資本収支」は黒字でした。資本収支とは、資産から収益を得る場合の収益であり、例えば住宅や設備などがそうです。これらの国々は証券や株式、そして住宅などの価格が上昇したことで、その収益率は上昇しました。

つまり、当時のアジア新興国のGDPの上昇は、海外からの資金流入(短期資金の投資)によって、自国の資本価格が上昇したことによって引き起こされました。実体経済である生産性が向上したわけではありませんでした。 実際の下記のデータを見ると、生産性の増加はわずかでした。

原因❸ 機関投資家による相場操縦

ここまで説明してきたように、タイをはじめとしたアジア新興国は下記のような状況でした。

そこに目をつけたのが機関投資家です。 一気に、新興国通貨を売り浴びせて、米ドルを引き上げれば、準備資金が足りないばかりでなく、短期資金を長期資金で振り替えて投資している事業も資金繰りが苦しくなります。

そして、機関投資家によって、大規模な空売りが仕掛けられ相場がクラッシュすることになります。もちろん投資家は空売りした資金を、崩れ切った相場から買い戻しています。そして多額の利益を数日で手にしました。

アジア通貨危機は、固定相場制の欠点を露呈したと言っても良いでしょう。

政府の意思決定は、非常に遅くなりがちで、流動的な経済の動向を考慮して適切な固定レートを決定することは非常に難しいです。

また、対外準備高の不足も、この金融危機をより大きくした原因でもあります。世界各国は投資が過剰になりすぎないよう、流入資金を適切にコントロールし、対外準備高を高めながら、生産性を向上させる事業に投資することが重要です。

アジア通貨危機(2/3) アジア通貨危機 IMFはいかにアジア経済を崩壊に導いたのか

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クリントン大統領が連邦準備銀行(FRB)と会談したときのことを思い出す。大統領は苛立っていた。当時の議長は前政権から任命されていたアラン・グリースパンで、彼は金利を 0.25パーセントか 0.5パーセントまで引き上げようとしていたのだ。クリントンは自分が大事にしていた経済の回復がぶちこわされるのを恐れていた。

(略)

クリントンは金利の引き上げが失業率と、ちょうど回復したばかりの経済に悪影響をおよぼすのではないかと恐れた。これは、世界でもとりわけビジネス環境のととのった国での話である。にもかかわらず、政治的にほとんど説明責任を負わなくてすむIMFは、東アジアでこの金利の引き上げをせまった。それも 25パーセント以上引き上げろとせまったのだ。

クリントンが回復に向かっている経済に 0.5パーセントの引き上げが及ぼす影響を懸念していたとすれば、景気後退に突っ込もうとしている経済に 25パーセントの引き上げがおよぼす影響を考えたら卒倒しただろう。

韓国はまず 25パーセントまで金利を引き上げたが、真剣にやる気があるのならもっと引き上げなければいけないと言われた。インドネシアは自国が危機におちいる前に先手を打って金利を引き上げたが、それでも十分ではないと言われた。金利は途方もなく上昇した。

ジョセフ・E・スティグリッツ著「世界を不幸にしたグローバリズムの正体」(徳間書店)より引用

金利引き上げにより連鎖する企業倒産

それにしても、IMFにはチェスの得意な人はいなかったのでしょうか? 少し読みを入れれば子供でも見通せる単純な結果を本当にうっかりしたのか、 あるいは意図的だったのか、謎は深まります。

金融再構築の大失敗

金利引き上げにより連鎖する企業倒産

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IMF → 「自己資本率を高くしなさい!」

銀行 → 「困ったな、どうしよう!」
( 選択肢1 )
資本金を増やす

誰も出資してくれないから無理
( 選択肢2 )
融資を減らす

企業への貸し渋り

企業 → 「貸してくれなきゃ、お金がないよ!」

運転資金が足りないから、生産縮小

生産が減ったから売上げ激減
↓ アジア通貨危機
銀行 → 「前に貸した金をすぐに返せ!」 → 企業 → お金がなくて返済できないから倒産

銀行 → 「貸した金がちっとも返ってこないぞ!」

銀行の不良債権、激増

銀行倒産
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アジア通貨危機(1/3) 今日のアジア経済を語る上で欠かせない「アジア通貨危機」とは

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アジア通貨危機

http://www.foreland-realty.com/?page_id=1175705より引用

「97年の経験則」とは、1997年に起きた「アジア通貨危機」のことを指しています。

1-2.アジア通貨危機をめぐる今日の見解

アジア通貨危機をめぐる今日の見解

経済的植民地からの独立宣言

「我が国は、二度と国際金融資本の餌食になることはない!」

それはバーツ暴落から始まった

それはバーツ暴落から始まった

ヘッジファンド
投資家(個人、金融機関、年金基金など)から預かった資金を運用し、相場の上下変動にかかわらず収益を追求する投資ファンド。反対売買などを組み合わせることで、リスクを回避(ヘッジ)しながら運用するのでこうよばれる。巨額資金を投機的に運用するヘッジファンドが多く、1997年のアジア通貨危機や2008年の世界金融危機などの元凶となったとされるが、世界的なカネあまりを背景にヘッジファンドへの資金流入が続いている。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説より引用

1997年7月2日、ついにタイ政府はバーツの買い支えをあきらめます。これを「変動相場制への移行」と呼んでいますが、要するに 通貨のコントロールができない状況に追い詰められたことを意味しています。

大方の予想を裏切り深刻な事態へ

金融危機はなぜ起きたのか?

アジア通貨危機

http://slidesplayer.net/slide/11359090/より引用

図表の参照元:第5回 国際金融論 通貨統合より

本当は資金が一時的に足りなくなっただけのこと

本当は資金が一時的に足りなくなっただけのこと

このように、 予期しない資金の流出によって資金繰りがつかないことを「流動性の危機」と呼びます。
通貨危機によってアジア圏の経済はズドンと落ち込みましたが、その後の急速な回復ぶりを見ても、経済自体に問題がなかったことがわかります。アジア通貨危機の本質は、たまたま資金繰りが追いつかないことで発生した程度の一時的な問題に過ぎなかったのです。

加盟国で起きた経済危機が近隣諸国や世界に広がらないように、加盟国のドル準備をサポートする目的で設立された機関がIMFです。最後の貸し手としての役割を果たすことこそが、IMF本来の仕事です。

IMF

救済の仮面をかぶった死に神

図表の参照元:経済産業省 第1節 新興国等の経済ファンダメンタルズより

グローバリゼーション( globalization )
国家などの境界を越えて広がり一体化していくこと。特に、経済活動やものの考え方などを世界的規模に広げること。グローバライゼーション。
<デジタル大辞泉の解説より>

通貨の生存率は0%

アジア通貨危機

まだ、あまり注目されてはいないものの、確実に進行しているのがHedera Hashgraphです。 これは仮想通貨ではなく、データベースのプラットフォームです。 ヘデラ運営審議会に大企業が次々と参画し .

ビットコインによる利益は雑所得

私はあくまでも投資ではなく、投機に近いものだと思っているので、関係がないのですが、 国税局でビットコインの取引で出た収益に関する税法上の取り扱いに関する指針が発表されました。 内容は以下となっています .

連鎖倒産の始まり?

どうやら最初の倒産となりそうです。航空関係は軒並みやられそうな勢いです。 これが金融危機の始まりとなるのでしょうか? ウイルスで打撃の海航集団、中国が近く政府管理下へ-関係者   .

お金を減らさないようにする努力

世の中には大金を稼いだと思ったら、突然破産する人が本当に多いです。 スポーツ選手も大金を稼いだら、高級車や豪邸を買ったりし、気が付いたら高くの負債を抱えて破産ということがよくあります。 アジア通貨危機 あと、典型的な .

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何も起こっていないように見える貴金属のマーケットですが、水面下ではかなり激しい動きが起こっています。 まずは中国です。 しばらく前に中国は経済危機に対応するために、貴金属価格を引き上げる動きに出ると書 .

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